偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
「考えておいてくれ…」
と友永先輩は白石先生の鋭い目つきを見て、慌てて去ってしまった。


「モテる女性は辛いね…杏花さん」

「いえ…ありがとう御座います…」

「社長室行くんだろ?俺も樹生に用あるし…一緒に行こうよ」

「あ、はい」

『順天堂』に入社してから…何故か私はモテ期に入り、色んな人達から誘いを受けるようになった。

二人でエレベーターホールに向かった。

「…君は本当に健気だね…玲人のヤツが羨ましいよ」

「白石先生には由夢さんが居るでしょ?」

「まぁね…」

白石由夢(シライシユメ)
彼女もまた、産業医で我が社に出入りしていた。
由夢さんは『槇村レディースクリニック東京』の産婦人科医。

二人はドクターカップルで、二人の間には楓(カエデ)ちゃんと言う娘がいた。

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