偽装ウエディング～離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。～

「戻りました…社長」

「樹生…この間の健康診断の結果だ」

白石先生は白衣の裾を揺らめかせながら、プレジデントデスクのチェアに腰を下ろす樹生社長に診断結果の封筒を渡した。

「サンキュー…幸人さん」

「まぁ、異常はないようだ…」

「この若さで異常がある方が怖い…」

「若いと言ってもお前も俺と同じ三十代に入ったじゃん…」

「そうだな…」

樹生社長は天空島で出会った女性・恋良さんと授かり婚。

そして、十二月には待望の双子の第一子と第二子が生まれる。私と玲人さんの子供なんて夢のまた夢の話。

「塩崎さん」

ノックして、社長室に入って来た第一秘書の逢沢さんに呼ばれた。

「では、私はこれで失礼します。社長」

「あぁ」