偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
彼はカラダを起こして、脇に電子体温計を挟み、熱を測った。

「三十八度二分…熱がありますよ!!玲人さん」

「そうですか…何だか機内の空調が暑く感じました。僕自身、熱があったんですね…ひと晩寝れば、大丈夫です…」

「でも・・・明日本社に行くんでしょ?無理しては…」

「…では、東亜の分室の救急外来に行って、点滴でも投与して貰いますか…」

「え、あ…はい…歩けますか?」

「何とか…」

******

私は車を運転して、近くにある『汐留ヒルズベイサイド』にある『東亜医科大付属病院分室』の救命外来に駆け込んだ。


「何だ?玲人じゃないか…いつ、ドバイから帰って来たんだ?」

「丁度昼間です…」

当直の医師は幸人さんだった。

「幸人さんと会うのはあれこれ…五年振りだな」

「そうだな…俺はお前がドバイに居た頃は、アメリカに居たもんな…」

「玲人…服を脱いでくれ」

「あ…分かった…」

玲人さんは幸人さんに指示されるまま、上着とYシャツを脱ぎ、上半身ヌードになった。
脱ぐと彼のカラダは意外と筋肉質で、アスリート型で引き締まっていた。
初めて見る彼の裸に私は頬を染めて視線を彷徨わせる。

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