偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
でも、楽しい二人の時間はあっという間に過ぎていく。

彼はまた…ドバイに帰ってしまう。

部屋で荷作りする彼の元を訊ねる。

「これ…」

母が私にとくれた風邪に効く漢方薬を手渡す。

「これ母がひきかけの風邪に効くとくれた漢方薬です…玲人さんに差し上げます」

「いいんですか?」

「あ、はい…仕事の資本はカラダの健康ですから…」

「ありがとう御座います…杏花」

「出来れば…その…」

私は彼に半年振りのキスをねだる。

「…キスですか?構いませんよ…」

彼は私を抱き寄せて、そっとキスを落とした。

渇き切った唇。

やはり彼のキスは背筋に甘い痺れが来る。

彼とセックスしている時のシーンを想像するとカラダがもっと熱くなる。

浅ましいと思いながらも私だって女。

女として、スキな男性に抱かれたいと思ってしまう。

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