偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
保はそう言って、刺身のトロを箸で口に運んだ。

兄・修人の不正を暴き、内部告発した僕。
身内だから、許してやれと一族の幹部達は僕を説得したが、僕は訊き入れなかった。

父も修人の身勝手な行動には頭に来ていたので、僕の肩を持って、修人を関連会社へと左遷させた。

修人の一件で、副社長の椅子を手に入れた僕であったが、それを良しと思わなかった一族の幹部達の手により、ドバイへの海外赴任の話が出た。

しかし、海外赴任する者は既婚者と言う社内規定があった。

僕は独身。

僕だけ、例外は通用しない。

父に勧められ、「花菱銀行」脇坂頭取の令嬢の雅さんとお見合いをした。

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