偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
「えっ!?」
私は的を当てられ、顔を赤く染める。

「僕にしてみれば、いい迷惑です」

玲人君は眼鏡の真ん中を弄り、顔を顰める。

「ねぇ~玲人君、わたしが修人さんのコトスキだってコトは秘密だからね・・・」

私は玲人君に口止めをした。
「くだらない。僕はそんなコト、兄に言いませんよ。それに兄には彼女が居ますよ。誠実そうに見えるけど、兄はとんでもない女たらしです」
突然の玲人君の爆弾発言。
「やっぱり、修人さんってカッコいいから、彼女が居るんだ」

「僕の話、訊いてます?」

次の瞬間、瞼が熱くなって、涙が零れた。

「杏花ちゃん?」

玲人君は優しく頭を撫でて私を慰めてくれた。
それが彼らと過ごした最後の夏だったーーー・・・


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