偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
杏花にスキになるなと言ったのは杏花をスキになってしまった自分自身に対しての戒めだった。


逢う度に、キレイになる杏花。
秘書の仕事に就き、秘書としての身だしなみに気を遣ってるせいもあるかもしれないが、美しさに拍車がかかっていた。

「お前のモノなんだし…いいじゃないか…」

「いや僕のモノじゃない…杏花には好きな人が居るらしい…」

「スキな人?」

「あぁ」

彼女はこの僕にはっきりと言った。

自分にはスキな人が居ると。

僕が杏花のコトをこんなにもスキだと思っても、彼女には他にスキな人が出来てしまった。

「まぁ、ずっと放置してるからな…浮気されても仕方がないよな…」

「保…貴方ね…」

「…だって事実だろ?だから、最初からドバイに連れて来いと言ったのに…玲人はそれをしなかった。スキな人が出来ても、文句は言えねぇぞ」

「それは承知しています」

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