偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
まぁ、薄々、居るんじゃないかと思っていた。


「で、どうするんだ?」

「何も出来ませんよ…」

「今からでも遅くないと思うけどな…玲人」

僕は冷酒を飲み干す。
風邪の治ったばかりの喉に焼け付ける酒の味。

修人の母が病死して後、父は直ぐに母と再婚した。

母は再婚を拒んだが、一人では生きていけない父は僕を盾に母の再婚を迫った。

そして、母は一族たちから図々しい女だと影口を叩かれるようになった。

次第に、母は追い詰められて、自殺した。

そんな母の心情を知り得なかった僕。

母は僕の為に再婚をしたと言うのに。
僕は母に何もしてやれなかった。

偽装だからこそ出来てしまった結婚。

本気で神様に誓って結婚などはできない。

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