偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
「じゃ貴方で決まりね…後で『LINE』で店のマップと集合時間送信するわ」

「ありがとう御座います…」

私に何の関心も寄せようとしない玲人さん。

彼の態度には飽き飽きしていた。

彼の心に私がいないなら、私の心にある彼の想いを消すしかない。

彼以外の男性をスキになって、この偽装結婚を終わらせようと思った。

戸川さん達と最上階のエレベーターホールで別れ、社長秘書室に戻った。

「私はこれから…ランチに行くので、社長に会長から預かった書類を渡し、コーヒーをお願いします」

「承知しました」

逢沢さんは私に仕事の引き継ぎを済ませて、ランチに行ってしまった。

私は逢沢さんを見送り、書類を持って、社長室の扉をノックする。

「社長、塩崎です…」

「どうぞ」

樹生さんのテノールの声がドア越しに聞こえ、そっとドアを開けて、中に入った。

< 75 / 136 >

この作品をシェア

pagetop