偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
「ルキ君…確かに見たんだけど…」

「ヤバい…」

彼は慌てて私の手を引き、奥のお手洗いの一室に一緒に隠れ込んだ。

「何してるの?」

「・・・番組のスタッフさん達と食事してから、いきなりファンたちが押しかけて来て…」

足音と女の子達の声がドア越しに聞こえる。

私とルキ君は口を引き結び、息を潜めて女の子達が去るのを待った。

「でも、此処女子トイレだし…ルキ君はきっと男子用トイレよ…」

女の子達は男性用のお手洗いに移動してしまった。

「信じられねぇ・・・アイツら男子トイレに行ったよな…」

ルキ君はホッと胸を撫で下ろした。

「本当に行ったか…見てあげる…」

私はそっとドアを開けて外の様子を見た。

「どうだった?」

「誰も居ないわ…」

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