偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
今年も後残すところ、二時間…

私と岩城さん二人で樹齢二千年を迎える大楠で有名な「来宮神社」へと初詣に出かけた。

「ルキ君が来れないのは分かるけど…お兄ちゃんは来れたはずよね…岩城さん」

「そうだな…」

神社で新年を迎えようと考える人達で参道は一杯になっていた。

私達は白い息を吐きながら、境内に向かって歩いていく。

「あれから、杏花ちゃんと旦那さんの常盤さんのコト…義彦に詳しく訊いたんだ」

「岩城さん!?」

「…常盤さんに金借りたんだな…」

「まぁね…」

「…もしかして、結婚したのは金の為?二人には愛がないのか?」

「それは…」

岩城さんの言う通り、私と玲人さんには愛がない。

玲人さんは父親の愛人の子。
愛が信じられない。結婚願望がないキモチは分かる。

「やっぱり…そうなのか・・・杏花ちゃんはホテルの為に常盤さんと結婚したのか…」

「・・・岩城さん…」

境内にたどり着き、参拝して辺りを散策して、樹齢二千年の大楠へと足を運ぶ。

パワースポットとして人気を博し、大勢の人達が大楠の周りを囲んでいた。


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