3時になれば彼女は
「あたしにもちょうだい」
千華がベッドに寝そべったまま腕を伸ばしてくる。
袋を差しだしてやると、千華はいつも通り無造作に手を入れてきた。
ばりばりばり。
「その手、シーツで拭くなよ」
「拭かねえよ」
男のような口調で言いながら、彼女は俺の放ったウエットティッシュを使い始める。
沈黙が生まれる。
ポテチを咀嚼する音だけが響いた。

「…出会い系なんてさ」
漫画のページをめくるのも忘れていたことに気づいて、慌ててめくりながら俺は言う。
「カラダ目的に決まってんじゃん。やられて終わりじゃね?」
「それならそれでいいんじゃない」
千華は事もなげに言う。さすがに聞きとがめた。
「いいのかよそんなんで。だっておまえ…、まだだろ」
言ってしまった。
さすがに空気が凍りつく。間をもたせるため、俺はまたポテチに手を伸ばした。
幼なじみの顔が、見れない。
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