3時になれば彼女は
「だからじゃん」
少しの沈黙のあと、千華は口を開いた。
「いいかげん処女なんて捨てたいんだよ、もうハタチだもん。っていうか童貞に言われたくねえわ」
「なっ」
とうとう俺は身を起こした。
千華もコミックから顔を上げて俺を見据えている。
その耳たぶが小さくきらりと光った。
ピアス? …いつのまにそんなもの。

「…てか、なんなのよさっきから。なんであんたにぐずぐず文句言われなきゃいけないのさ」
「いや――――」
「あたしが出会い系にはまろうが勝手でしょ。もう未成年でもないんだしさ」
反論できない。
でも、なんか、なんか違う気がするんだ。
千華がいきなり女になって、得体の知れない男となんて、なんか。
その気持ちをうまく表現する言葉を俺は持っていなかった。
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