3時になれば彼女は
俺は再び床に寝転んだ。
「…明日さ」
不意に、口が勝手に動きだした。できるだけ、なんでもなさそうに。
「明日の3時、俺も予定あるんだ。久しぶりに宏樹たちと草野球」
「へえ、どこで?」
「…総合公園のグラウンド」
嘘だった。
カーペットの毛玉をぶちぶちむしりながら、無為に言葉を重ねていく。
「数馬の大学の仲間だとかで、対戦チームも見つかったんだ」
「へえ…」
「久々にオレンジの蜂蜜漬け食いてえな」
千華は黙った。

宏樹や数馬も竹馬の友で、草野球の試合のたびに千華はマネージャー気取りでオレンジの蜂蜜漬けを作って応援に来てくれた。
それはポカリスエットやアクエリアスよりずっと俺たちの疲労を癒してくれたのだ。
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