キミ、が欲しい



「じゃあ、もう退院手続き終わったから帰っていいよ〜お母さんも午後からは休み取ってるから」



「うん、後でね〜」



「安静にしてなさいよ?」と念押しされ出て行った。
「私たちもこれで失礼するね?」ってそそくさと麻衣子たちもバイバイと帰って行く。



あれ?気を遣わせたのかな…?



ガラン…とした病室。
立ち尽くすハルの服を引っ張った。
ゆっくり顔を上げて……あの瞳に捕まる。



慌てて涙を拭って真っすぐ私を見るキミに言葉なんかいらなくて……



激しく重なる唇と首に回した手。



離れてもまた重なって……
全てが愛しい。
もう……離れたくない。
ハルじゃなきゃダメなの。
どこにも行かないで……



少し抱きかかえられてベットに座らされる。



そのままハルは何度も優しいキスを降らせてくれた。



「星那……愛してる…」



私もだよ……ハル。
忘れるわけないよ。
だって一生分の我がまま、きかなきゃいけないでしょ?



“ずっとそばにいてください”



キミがたくさん勇気を振り絞って言ってくれた我がまま。
仕方ないからきいてあげる。



見つめ合ってはにかむ2人。



そしてまた、重なる。




嗚呼………もう他には何もいらない。



キミが欲しい。



キミだけを愛して……



生きていきたい……











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