キミ、が欲しい



「何されても声出したらダメだよ……」



耳元で吐息混じりにそう言う。
だって家族にバレちゃうでしょ?
だから携帯のイヤホンを外して直に音楽を流した。



再び上に乗ってキスしようとした瞬間………



部屋の扉が開いて、
「お兄ちゃん音うるさ…っ」
千晴ちゃんが勢いよく部屋に入って来て私と目が合う。



「あ……」



もう逃れようのないシチュエーション。
思いきりハルの上に乗って今からキスしようとしてる私に赤面してる中学3年生。
ごめん、刺激強すぎだよね……



「ごご…ごめん!音小さくするわ」



慌てるハルの手を止めて私が携帯の音を小さくした。



「千晴ちゃん、もう少しだけお兄ちゃん借りていい?」



目のやり場に困って俯いていた千晴ちゃんは「どうぞどうぞ」と後ずさりして部屋を出て行った。
お年頃なのに、ごめんね。
次からはノックして入って来てね?



突然の出来事にハルは苦笑い。
慌てて離れた手を取りブラウスの中に誘う。



「まだ、終わらないで……」



「うん……」



戸惑いながら続けてくれるハルの顎を持ち上げ私からキスをした。



誰かがまた来るかもしれない状況の中でドキドキしながらする行為は、声出しちゃいけないから刺激指数は最大。
まさかのハプニングも……ご愛嬌、ということで。



後で千晴ちゃんに「お兄ちゃんちゃんと避妊しましたか?」と聞かれこっちが焦る。
授業で習ってるから気になったらしいよ?
見られた時より変な汗出たわ。



そんなおマセな妹ちゃんにハルはタジタジで言い返す声とか上ずっちゃってるから。
そんなやり取りを見るのが好きでここに来ちゃうんだけどね。







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