キミ、が欲しい
違う校舎は行きづらいんだけどなぁ。
ま、普通に行ってもいいし行き来してる子たくさん居るんだけども。
皆、私が居たら二度見するから居心地悪くて…
D組のドアは開いていて、昼休みとあって男子がうじゃうじゃと待ち構えていた。
そーっと顔を出すと「うぉ〜!」と謎の雄叫びが。
「スゲぇ!このクラスに結城さんが!」
いや、呼ばれたら普通に来るよ。
「ごめん…」と何故か謝るハル。
知ってる、無理やり呼べとか言われたんだよね。
「いいよ、会えて嬉しい」
そう言えば赤面するし周りがはやし立てるのも想定内。
「ハルの席どこ?」
「え…あ、ここ」
指差した席に座ってみた。
窓側の真ん中らへん。
外はグランドだ。
「へ〜、あ、じゃあこっちが体育してる時見えるね?」
「うん…」
そっか、ここで毎日授業受けてんだね。
今、2人きりじゃないことだけが残念で仕方ないけど。
なんて考えてたら、クラスメートの1人が「グループLINEしよ」と言ってきた。
なるほど、目的はこれか。
チラッとハルを見たら下唇を噛んで目を伏せてる。
うんうん、言えないけど嫌だって意思表示なんだよね?
1人が言い出したらやたらグイグイ前に出てくる男子たち。
「あ〜ごめんなさい、次移動教室だからもう行かないと」と立ち上がる。
「ハル、またね」と言って行こうとしたら「じゃあ放課後!そっちに行ってもいい?」と向こうもしつこく出てくる。