キミ、が欲しい



私が書いたのは“メガネ男子”ではない。
始めから決めてたことだから大胆なんだろうけど許してね。



キミが密かに宝物としてくれた一枚の紙切れ。
そこには私の走り書きで
“今一番気になる人”と記されている。



あ、そうそう。
本当の紙に書かれてたのは
“サッカー部の後藤”だったから
「は?何で名指し?」となったので完全に無視してやりましたよ。
ヤラセにはヤラセ返しです。



まぁ、借り物競走決まった時からこの構想が出来上がっていたのは言うまでもない。



戻ったら麻衣子と梓に色々とイジられたけど後でサッカー部の後藤先輩とやらが直々に来てくださいましたよ。
梓に耳打ちされてわかった。
ようやくご対面、ですか。



「勘違い女だって思われても結構なんで先に言います。LINE交換はしません、それ以外の要件ですか?」



「ちょっと星那っ…!すみません、ちょっとこの子…今、変なんです」



なんで麻衣子が謝る?
まぁ、あまりにも言われ過ぎて頭が麻痺してるのかも。
少し面食らった感はあるけど物怖じしない態度。



「どストライクなんだけどな、試しに付き合ってみるとかどう?」



直球だな、チャラさ全開。
そんな私も愛想笑い全開。



「うーん、興味ないんでごめんなさい」



隣の席に座ってきてはグイグイこられるの、マジ勘弁。
私、ドン引きしてんのわかってます?



「たくみ、こんなとこ居た〜」と3年生女子に耳を引っ張られてご退散なられました。
めでたし、めでたし。
チャラ男はどこまでもチャラいね〜と遠い目。
「またね!」って、次なんかないから。






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