キミ、が欲しい
【お家デート】
体育祭で交換したブルーのハチマキ。
嬉しくてつい部屋に飾ってる。
あの後、何事もなかったように教室に戻ればまた麻衣子たちに色々と事情聴取されたっけ。
担任の先生に上手く誤魔化してくれたみたいで感謝してる。
「追試?ハル、引っかかったの?」
「はい……すみません」
放課後の帰り道、ガックリ肩を落としプリントを見せてくれた。
ふーん、数学と英語か。
「教えようか?」
「えっ!?いや、悪いよ…」
そっと手を繋いだらわかりやすい反応。
そんなのお安い御用なんだよ?
ハルの役に立ちたいの、わかってよ。
「両方、得意科目なんだ」
「で、でも……」
「私じゃ役不足?」
「いや…!むしろ嬉しい…です」
「じゃあ決まり」
「う…うん」
というわけで日曜日。
初めてハルの家に来たわけで。
おそらくお母様、妹…?なのかな。
玄関までお出迎えいただいて挨拶した後にマジマジと見られてる。
えっと……
「ウソでしょ!?お兄ちゃんにこんな綺麗な彼女とか有り得ないから!」
妹さんの大きな声にビクッとした。
慌ててハルも2階から降りてきてテンパってる。
何気に私服のハルは初めてだ。
「もしかしてお兄ちゃんイメチェンしてくれたの彼女さんですか?だったらありがとうございます!」
「もうお前向こう行ってろよ…!あ、結城さん…どうぞ上がって」
ひとりっ子な私には兄妹のやりとりが新鮮過ぎて笑ってしまった。
手土産を渡して2階へと上がる。
初めて入るハルの部屋。
男の子らしいアイテムがたくさん。