キミ、が欲しい



一瞬過ぎて瞬きすら忘れるほど。
カーッと顔が熱くなる。
え、え?だって……皆の前。
腰に手を回して「じゃ、行こっか」って歩き出す。



「チッ、彼氏持ちかよ」と男子生徒は去って行った。
居なくなった後でバッと離れ「ごめんなさい」ってかなり恥ずかしそう。
何で謝る?
皆も勇気ある行動に拍手してくれてるよ?



少し震えてるハルの手をそっと握る。



「なっ、結城さん…」



「え、もう皆知ってるよ」



指を絡めて恋人繋ぎ。
ハルの方から仕掛けてきたくせに。



「いや……その、」



あれだけ大胆な行動に出てくれたんだから今さら恥ずかしいはないでしょ。
皆も笑ってこっち見てるし。
すでにいっぱいいっぱいみたいだから私から皆に言うね?



「ごめん、先帰るね?」



もうこうなることは皆もお見通しだったみたい。
「お幸せに〜!」と手を振って見送ってくれた。



「ありがとう、格好良かったよ」



あれで精一杯…と照れ笑いするキミの腕にギュッと抱きついたら目が合って立ち止まってくれる。
人目にかからないよう、隠れるようにキスをした。



2回目はハルの方から。



これはきっと、人生の中で一番ドキドキして…熱い夏がやって来るに違いない。









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