キミ、が欲しい
7月26日(土)花火大会。
人がたくさん行き交う中でもすぐに目に入る。
一発でキミだとわかる。
格好いい浴衣姿。
凛とした横顔。
背も高いから他の女子たちにジロジロ見られてるのだけはしゃくに触るけど。
「ハル、お待たせ」
振り返ったハル、嬉しそう。
梅や桜の花が散りばめられたピンクの浴衣にアップヘアー。
「に、似合ってる」
「ハルも格好いいよ」
いつもより増してそう思うのは、浴衣姿だからなのか。
いくつも大人に見えて、色気を感じる。
「穴場スポットあるから」
ハルにそう言われ
ニッコリ笑って手を取り歩き出す。
人混みの中、ゆっくり前に進む。
途中、何人か中学時代の友達と会っちゃってハルを見て頬が赤らんでた。
格好いいでしょ、と心の中で思いながらハルを見たら負けてないくらい真っ赤になってて笑う。
「だって、彼氏とか言うから…」
「え、そうでしょ?」
友達に誰?と聞かれたからそう答えただけなのにそこまで赤くなる?
ねぇ、付き合ってるんだよ私たち……って確認したらギュッと握り返されて照れた横顔。
屋台の灯りがオレンジ色に照らす。
こんな蒸し暑い夜もキミのおかげで幸せな思い出と形を変えていくから不思議。
人混みから外れて少し階段を上がって歩いていくと本当に人気のない場所にポツンと岩のようなベンチがある。
「ちょっと待って」とハンカチを出して私の方に敷いてくれた。
「ありがとう」
「あ、途中で何か買ってくれば良かったね?あぁ…俺のバカ…」