キミ、が欲しい



でも私はハルを見つめたまま……



真っすぐ見上げた瞳と重なって、思わず立ち上がってしまう。
ハルはニッコリ笑って手を振ってくれた。
下から「次も見てて!」と言ってはにかんだの。



「何それ、星那、勝ち誇ったような顔〜」と麻衣子と梓が茶化す。



「星那が手出すなよって言った意味が何となくわかったわ」



「なら改めて言う。ハルはダメ。」



胸がざわつく。
あんなギャップ……反則じゃん。
モテ出したりなんかしたら…許さないんだから。



2回目の400メートルリレーも出てきた瞬間、さっきより歓声浴びてる。
ハルはスターターで背泳ぎ担当みたい。
先に入り、スタート体勢に。
背筋もヤバ……



息を潜めて見守る会場がシーンと静けさを取り戻す。
ホイッスルの音と共に力強いスタートを切ったメンバーたち。



背泳ぎのストロークが本当綺麗。
水しぶきを浴びる胸筋……
時折見える腹筋……
あの体を私…襲おうとしてたんだ……



あ……1位だ。
次のメンバーが次々と入水していく。
スタート台近くで他の終わったチームメンバーと一緒になってアンカーを応援してる。



ちょっと待って……
濡れた髪がセクシーで、笑顔が眩しい。
友達と熱くなってる時のハル、すごく格好良い。
あの瞳が笑ってる。



やっぱり私は、ハルが欲しい。



独り占め……したい。







< 51 / 115 >

この作品をシェア

pagetop