キミ、が欲しい
ガヤガヤと騒がしい廊下で、ひときわ目立つ集団がこっちめがけて近付いてくる。
周りも自然と道を開けるから私も吸い込まれるようにその集団に視線を向けた。
うわ………派手な人たち。
噂では聞いてる、ファッションデザイン科……
毎年大反響を呼んでるファッションショー。
前夜祭の目玉と言っても過言じゃないほど。
ド派手なファッション、ド派手なメイクで颯爽と歩く姿はさすが、と言った感じ。
でも何で1年生の校舎なんかに?
自然と私も道を開けようとしたのに、何で皆さん…目の前で立ち止まる!?
「え……?」
リーダー的存在の3年生女子がサッと右手を挙げると、後ろにいた同じファッション科の人がメジャーらしき物を手渡す。
徐々に近付いてくるから後ずさる。
え?なに?なんなの!?
壁側にまで追い込まれて……
「星那〜交代しよ」とカフェから麻衣子が出てきてくれたけど、この異様な空気に固まる。
「結城星那さん、だよね?」
あ、圧がすごい………
そのど派手なメイクのせいか魔女に見える。
全く面識もない私に…何の用なの…?
「時間がないから手荒な真似するけどごめんね?」
「え?」
そう言われた瞬間、後ろに居た人たちが一斉に私を周りから見えないように囲み出す。
めちゃくちゃ怖くて「え?なに?なに?」ってパニクる。
目を閉じてる間にメジャーで採寸し始めたから「え?」と拍子抜け。
首回り、腕回り、バスト、ウエスト、ヒップ……凄まじい勢いで測られて終わればサササーッと盾になってた人たちが離れていく。