キミ、が欲しい



「これだけピッタリとは……結城さん、単刀直入に言う!今日のファッションショーでトリ務めてくれない?」



「……はい!?」




「予定してたモデルに欠員が出たの。綿密な計算で作ったドレスだから誰も着こなせない。でも今測った結城さんなら着れる、こんな奇跡ないのよ!」



「いや、そんなこと言われましても……こっちの出し物だってありますし」



チラッと麻衣子を見るとリーダーは麻衣子にまで直訴する。



「お願い、午後から彼女借りていいかな?最後のショー、後悔したくないの」



当然断ってくれるよね…?と麻衣子を見たら、目が明らかにハートになっててズッコケそうになる。
「握手…してもらっていいですか?」って完全にアウトじゃん。



「煮るなり焼くなりお好きにどうぞ」



「麻衣子っ!?ウソでしょ?」



「恩に切るよ、麻衣子ちゃん」と頬にキスされて骨抜きになってんじゃねぇよー!!



ど派手な集団に囲まれて堂々と拉致されるの初めてだわ……
ていうか、ハルのクラスに行きたいのにー!!







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