キミ、が欲しい
「む、無理だよ……こんなダサい俺のどこがいいわけ?笑いものにされるだけだし」
よし、否定しか口に出さないヤツは強行突破。
両手で彼の顔を包んだら踵を上げる。
その瞳で弱音とか矛盾してるから。
周りが何なの?
私が決めたんだから誰にも文句は言わせない。
重なる柔らかな唇。
少し甘噛みしてみた。
案の定固まって動けない彼。
キスしてるんだから目は閉じてね。
「お願いだから、彼女にして」
迷いなんてなかった。
この瞳を前に欲しいと思わないでいる方が難しい。
横を向き俯くキミの顔をもう一度包み込んだ。
「誰かがどう思うかより、自分がどう思うかだと思う。私のこと嫌い?」
首を横にブンブン振る。
「一緒に居て楽しませる自信ないし、俺イケてないし、頭もそんな良くないし…それに…」
「それに…?」
「学校一の美女に罰ゲーム仕掛けられてるとしか思えない…!」
思わず笑ってしまった。
学校一の美女、とか久しぶりに聞いた。
どうせ後で皆で笑うんだろ?って?
どんだけネガティブなの。
「じゃあ自信持つ為にもう一回する?」
「え?」
「キス」
「むむむむ無理っ…!!」
「そんな全力で拒否らなくても…」
プライドが傷付くんですけど?
ごめんなさい、とその場にしゃがんでしまった彼。
膝と膝をくっつけて私もしゃがむ。
「もしかして、ファーストキスだった?」
また恥ずかしそうに俯いて視線を外すから……その瞳に捕らわれたくなるんだよ。
「わ、悪いかよ…」
拗ねた顔も可愛い。
「悪くないよ、これからどんどん2人の“初めて”を増やしていこう?きっと楽しいよ?そう思わない?」
真っすぐ見つめ返すキミ……きっとこの時恋に落ちてくれたんだよね…?