キミ、が欲しい
ダンスとポージングのみで当てる究極のゲームだ。
プロゲーマー舐めんなよ。
あ、まだセミプロだった。
「当ててみせましょう」と、紙とペンを用意する。
「え、これでわかるの?」
「私はちんぷんかんぷんだわ」
麻衣子と梓はまだ半信半疑。
でも私にはわかるのよ。
最初から輝いてるんだもん。
他のメンバーは消去法でいくしかない。
「じゃあ、ジャッジタイムね」
そう言って彼らの周りを歩く。
一人ひとりジッと見つめてると、向こうは見えてるけどこっちは見えない本格的な作りに頭が下がる想いだ。
「よく作れてるね〜関心する」と言いながら目の前に立って距離をつめる。
「わわ、星那近い……」
梓の言葉も聞こえないフリして首筋あたりに顔を近付けた。
クンクンと匂いを嗅ぐため、かなりの至近距離。
「キミはハルじゃない」
緑の彼は山岸くんと書いて顔に貼る。
同様の手口で赤は斉藤くん、青は田村くん、黒は今井くんと何も言わずに貼り終える。
貼られた人は視界が遮られ何も見えてないはず。
やっと見つけた。
かなり自信あるからマスクの上からキスしちゃう。
そっとマスクを取ってあげたら、中から汗だくのハルが顔を出す。
黄色のヒーロー。
私だけのヒーロー。
麻衣子たちに見られてるとあって恥ずかしそうに「バカ」と言われました。
「マジびびった、違ってたら大惨事だよ!」とご心配もおかけしましたが無事全員大正解してめでたし、めでたし。
「俺もびびった、他の奴らにあんな近付いちゃダメでしょ」って後で言われた。
本当はね、最初からわかってた出来レースだったんだよ。
だってハルの体、毎日見てるもん。
匂いは一発でわかる。
ハルはね、無味無臭なの。
目の前に現れた瞬間からもうわかってたことだったんだよ。
ちょっとスリル満点だったでしょ?
本当は私もリアルタイムで見たかったよ……
ショーと被っちゃって申し訳なかったけど、心底楽しかった。
明日は一緒に回ろうね。