キミ、が欲しい



「え、何のマネですか?」



一切うろたえない強気な態度。
あまり先輩のことはよく知らないけど、このまま襲いかかってくるような腐った野郎ではないと思う。
だって慣れてないもん。
内心相当焦ってるはず。



「知ってると思うけど俺、星那ちゃんのこと好きなんだよね…!こんなこと本当はしたくないんだ、ごめん…嫌われ、たよね?」



「わかってんならしないでください」



「ごめんなさい……」



もう、可愛そうなくらいシュン…としててクスッと笑ってしまった。



「別にこれくらいで嫌いになったりはしないですよ」



「星那ちゃん……」



行こうとしたら入り口方面から「星那!星那!」と私を呼ぶ声が聞こえてきた。



「ハル…?」



遠くで確かにハルの声がする。
「星那どこにいるの?ギャー!」って。
私のこと捜しに来たの?
思いきりビビりながら?
障子の部屋らへんで「うわぁぁ!」って叫んでる。



「知っててもらえると有り難いので言わせてもらいますけど、私、彼氏がいるので先輩の気持ちには応えられません」



そう言い残し外へ行こうとしたら「待って」と先輩に止められ「行かせたくない」と顔が近付いてきたから。
私の足は先輩の大事な急所に思いきり入ったわけで。



「ぬおぉぉぉ…!」とうずくまった先輩をその場に置き去りにした。
ちょうどコースに戻ったタイミングでハルを見つけた。



突然現れた私にまで「うわぁ!」と驚いてる。



「あ、星那…」



「お化け屋敷、苦手なんでしょ?」







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