キミ、が欲しい



「慣性の法則もちゃんとわかってる?」



「えっと、 外から力が作用しなければ…物体は静止または等速度運動を続けるという法則、だよね?」



「そう、それでね……」



部屋に男女が2人きり。
しかもお年頃…となると気になるものなんですね。
ドアの向こうで何かが崩れる音がして開けてみたら、ハルのお母様と妹さんが。



「なっ、何してんだよ…!」



「アハハ、いや〜ちゃんと勉強してるかなぁって…」



「してるに決まってるだろ!向こう行ってろよ」



「ハル、そんな言い方…」



家の中が騒がしいこの空間が私は好きだ。
自然と笑みがこぼれる。



「ていうか千晴もテスト勉強しろよ!」



「お兄ちゃんに言われなくてもわかってるよ!」



「え?あ、そうか。千晴ちゃんは中2だよね?良かったら一緒にどう?」



「えっ!?いいんですか?」



「そんな…星那ちゃんが大変よ」と言うお母様と
「星那は俺となの!」と言う桜庭家長男……



「大丈夫ですよ、中2なら教えれる範囲ですから」とニッコリ。
ブツブツ文句を言うハルはさておいて、急遽3人での勉強会が始まったわけで……



「やった〜星那さんに教えてもらえるなんてラッキー」と嬉しいこと言ってくれる千晴ちゃんに対して、ちょっぴり機嫌の悪いハル。



だってハル……この方が集中してくれるんじゃないかと思って。
2人きりだとデレデレして他のこと考えちゃってるから。
さっきから欲しそうな顔してるし。
ごめんねってアイコンタクト。






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