キミ、が欲しい



「学年トップ!?星那ちゃんが?あんた、どれだけ不釣り合いなのよ」



いや、トップじゃなく正確には7位なんですけどね……前回の中間テストは。



「お兄ちゃんが自慢してたよ?入試トップだったって」
「バカ!いらないこと言うな!」



慌てるキミはお茶を吹き出しかけて、「汚い」と言う千晴ちゃんとティッシュを渡そうとするお母様。
でもそれより早く勝手に体が動いちゃってそっとハンカチでハルの口元を拭いてた。



「ごめんなさい……」



「ん?何が?」



「いや、こぼしたのと……千晴に自慢しちゃったこと」



あれ、シュンとしちゃった。
謝ることでもないのに。
だから笑って「全然いいよ」と言った。



ごちそうさまをして片付けようとしたら「遅いから」とハルが送ってくれることに。
「人様の大事な大事な娘さんなんだからね?ちゃんと責任持って家まで送りなさいよ?」念押しされてる。



「ごちそうさまでした、失礼します」



「またいつでも来てね、バカ息子だけどこれからも宜しくね」



「はい…!千晴ちゃんも次は数学ね」



「やった〜ありがとうございます!」



仲良し家族に手を振って別れる。
外はすっかり秋空から夜に。
自然と手を繋いで歩く道のり。
他愛もない話をして笑い合う。
クシャッと笑うハルが好き。



あんな温かい家庭で育ったんだもん。
だからハルは優しくて真っすぐなんだよね。
私には眩しいくらい。






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