キミ、が欲しい



ちゃんと律儀に電車を乗り継いで家の前まで送ってくれて。
閑静な住宅街と言えど、人は歩いてるわけで……ソワソワしてるハル。



「じゃあまた明日」



「う、うん…」



手を離そうとしてくれなくてキョロキョロしちゃって……



「ハル…?これじゃ家に入れないんだけど?」



「あ、ごめん…!」



パッと離した手。
わかってる。
だから可愛い。
ついイジワルしたくなる。



うちは玄関アプローチを隠すようにルーバーがある。
外からは見えないよう格子が建てられてあって、とっさに思いついたのかハルはそこまで私の手を引き誰にも見えないようキスをした。



着ていたパーカーを引き寄せ私からも。



「やっとキス出来たね?」



「うん…」



「でもハル……ここ」



そう言って上を指差す。
セキュリティのための防犯カメラがバッチリ私たちを映してる。
慌てるハル、今さら顔隠しても無駄だよ。



首に手を回して再び見つめたら……
戸惑うハルに「ま、いっか」と深くて長いキス………



離れてもまだ欲しそうな顔。



「続きはまた今度ね」



そう言った後の拗ねた返事も好きだよ。
帰したくなくなる。
でも今日は我慢してね…?
早くあの温かいお家に帰してあげたいから。



また明日………










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