キミ、が欲しい
「じゃあこの前の返事聞かせて?」
なんだかんだ言って上手くはぐらかされてる状況はあまり好きじゃない。
手を握りながら催促する私にタジタジだね。
もうひと押しかな?
「晴人って書いてはるひとなんだね?」
「うん…」
「ありきたりだけど、ハルって呼ぶね?」
「あ…うん」
「私は星那でいいよ」
「女子を呼び捨てとか、俺何様?だし無理だよ…」
「ハハハ、いちいちリアクション面白いね」
「どうも。俺はやっぱり結城さん…で」
「まぁ、どっちでもいいや。で、返事は?」
「え……えっと………」
どこからともなく聞こえてくる「あの人格好いい」って声。
周りの女子がチラチラ見てる。
確かに格好よくなったんだけど、あまり見ないでほしい。
なんか、しゃくに触る。
「私が彼女って、嫌?迷惑?」
「いや、そんなんじゃない!それだけは決してない…ただ、俺自身が自信ないんだ」
「やっぱり…そんなの付き合っていくうちにお互い身についていくもんだよ、石橋叩き過ぎ」
「で、でも…」
人差し指で彼の唇を押さえて言葉を遮る。
「弱音吐くたびにまた唇奪うよ?」
「うっ……!」
「大丈夫、そんな弱い部分も含めて好きだから…ていうか、どんどん好きになっちゃうから」
まるで暗示でもかけるかのように引き寄せ密着する。
今にもキス出来そうな距離感。
慌てて離れようとするから首の後ろに手を添える。
ピタッと動きは止まってロックオン。
「だから私は、ハルの彼女になりたい」