キミ、が欲しい
「いい?3回勝負のレベル制限なしだからね!」
何でゲーセンなのよ。
流行りのアクションゲーム。
向かい合って対戦してる。
「お、ハルちゃんやるね〜でも負けないよ!」
これ、何を見せられてるの?
2人とも激戦しながら笑ってるし。
ハルも見事な手さばき見せてる。
まぁ、いいか…とハルの隣に座った。
「あ、星那は手伝うなよ?アドバイスも禁止な?」
前からひょっこり顔を出して忠告してくる拓海。
しばらく2人のバトルを見ながら私もいつの間にか笑ってた。
結果はドロー。
お互い同じようなレベルってこと。
私なら秒殺……だけどね。
「よーし、次はUFOキャッチャーだ!」とか言っちゃってるし。
何でハルも乗り気なの。
「星那、これ両替お願い」と拓海が1000円札を渡してきた。
「は?自分でやってきなよね」とブツブツ言いながら両替機を探す。
えーっと、どこだっけ?
2人から少し離れた場所に一台だけあるのを見つけた。
2人だけ楽しんで私はパシリ!?
次はほっといて私も楽しもうかな、なんて考えてたら。
「え、N校じゃん!今、1人〜?俺らと遊ばない?」
両替機の周りに集まって来た他校の男子高校生4人組。
「お願い、無視しないで〜」と道をガードされてしまった。
面倒くさい。
「めちゃくちゃ可愛いね?番号教えてよ」
どうにか無視したまま終わらせないか探ってたら男子高校生たちの肩を掻き分けて私の手を引いてくれたのはハルだった。
「俺の女に何か用?」
え……ハル?
一度だってそんな言葉使わなかったのに。
男子高校生たちが去っていった後で「ごめん、俺が行けば良かったね」って力なく笑う。
思わず抱きしめた。