キミ、が欲しい



戸惑いとまだ自信のない瞳。
周りの目も気になるみたい。
でも、首に回した手、後戻り出来ないししたくない。
私だって人前でこんなこと、恥ずかしいよ。



「お、俺……格好悪いよ?鈍くさいし後ろ指差されることの方が多い…」



「うん、知ってる…」



「女の子の扱いよくわかってないからイライラさせちゃうと思う…」



「即決してくれない今がそうだね…」



「わわ、ごめんなさい…」



「ていうか謝り過ぎ」



「だって……何で俺なの?訳わかんないし」



「人を好きになるのに理由なんてないよ、ハルがいい、もっと知りたいって思っちゃったんだもん」



「うぅ……」



「だからハルの高校生活、私にちょうだい」



真っすぐ見据える私の瞳にバッチリ合わさった。
この瞳は誰にも向かせない。
私だけを見て、私だけのものにする。
いいよね……?



フッと笑った。
初めて笑うとこ見た。
八重歯が光ってる。
え、可愛い。
その瞳で笑顔とかヤバ過ぎるんですけど。



「結城さんのその瞳、信じてみる…」



「ほんと?」



「本当に俺なんかで良ければ…よ、宜しくお願い…します」



「俺なんかじゃなくてハルがいいの」



「う、うん…」



「じゃあしていい?」



「えっ…!?」



戸惑ってる隙なんか与えないよ。
軽くキスして抱きしめた。



ようやく、よーーやく、
花の高校生活が始まりそうです。







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