キミ、が欲しい
「俺は泣かせないし奪いにも来させない。星那は渡さない!」
「よし、よく言った!じゃあね〜」
「え?」
言うだけ言ってあっさり帰って行った拓海と分かれて2人での帰り道。
「星那、俺……その」
ギュッと手を握る。
「わかってるよ?」
「お、俺、自分に自信なくて…星那が初めて出来た彼女だし、正直女の子の扱いとかよくわかんないけど…こんな俺だけど、一生分の我がまま言っていいかな?」
「なーに?一生分って大袈裟…」
「ずっとそばにいてください…!俺の全てをかけて幸せにします…!だから…!」
「ちょっとハル……声、大きい」
「えっ!?あっ……」
駅前通りの交差点。
周りに居る人、皆が見てる。
“可愛い高校生カップル”とか言われちゃってるよ。
「ご、ごめん……」
真っ赤になりながら謝るキミの胸に頭を寄せた。
すっぽり包んでくれる温かい腕。
「こんなとこで一生分使わないで…」
「え……?」
「言われなくてもそばにいるって話」
「うん……」
「じゃあ私からも一生分の我がまま言おうかな」
「えっ……何?」
見上げるキミの真っすぐな瞳にずっと映っていたい。
だから………
「私の、最後の人になってください」
恥ずかしそうにはにかんだ、この日のキミの笑顔をきっと忘れない。
一生分の我がまま。
きっと忘れない____