【BL】年上の意地、年下の本気
「…離れろ。」
自分でもこんなにも低い声が出るのかと驚いた。
この男の肩を掴む手の加減ができない。
「また君か。」
相変わらず余裕の笑みを浮かべている。
「逞真……」
俺の顔を見た瞬間、結城さんは大粒の涙を流した。
…怖かったろうな、不安にさせてしまった。
「黒羽 逞真。君は何度雅を抱いた?」
突然の質問にイラつきを覚える。
こんな状況でも顔色一つ変えないのだから。
「貴方には関係ありません。」
結城さんの前に立って、同じくらいの高さにある顔を少し睨みつけた。
「…まぁいい。君がこれから何度抱こうが…あの日を越えることはないからね。」
「あの日…?」
「…雅は君に何も言っていないのか?」
喉を鳴らして笑う清水 瞬の顔は俺を嘲笑っているかのようだ。