【BL】年上の意地、年下の本気
恐ろしい事に榎本 楓華はあの篠宮 咲希さんをパパこと榎本社長に頼んで芸能界を引退させた。
この世界ではトップであるうちの事務所から引退ということはもうどこにも行くところはないということで。
…社長の娘だとそこら辺は分かっているだろうに、頼んだという事は。
「…愛されてるなぁ」
1人車を運転しながら呟いた。
結城さんは何人…いや、何百人もの人達に慕われて、俺だけのものになる事はない。
…俺だけをみてくれることも、多分。
「気づいてくれるかな。」
ワクワクする。
人を騙すなんて小学生以来。
「結城さ────」
…わかっていたはずだ。
なのに。
「社長、私昨日入ったばかりで…こことかよく分からないんです〜!」
綺麗な女の人は結城さんの腕に腕を絡めている。
「わかった、少し社長室で待っててくれる?」
少し笑みを見せて結城さんは女の人から離れた。