【BL】年上の意地、年下の本気


「………逞真?」


哀れむように、雨が降ってきた。


結城さんを困らせたくない。
…結城さんの重荷になりたくない。

呆られたくない。

……嫌われたくないのに。



「逞真っ…!」


車に乗り込み、急いでハンドルを切った。

気づいてもらえた嬉しさと嫉妬。
……ぐちゃぐちゃだ。





「…バカだな。」



適当に走っていると小さな喫茶店があった。

お客は1人もいなさそう。
…ここなら変装要らなさそうだし、入ろ。







「いらっしゃいませ〜」

幸いなことに店員さんは50代くらいのおばあさんとおじいさん。

…これなら気づかれな…「逞真?」






どこか懐かしく響く声。


「やっぱり!逞真だ!」

持っていたお盆をカウンターに乗せて近づいてくる。




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