【BL】年上の意地、年下の本気


遊具はびしょ濡れでもちろん誰一人いない。


「…………」


身体が重い。
もう立つことすらままならない。



あそこで少し雨宿りしよう。
少しだけ、ほんの少しだけ……


雨がやんだらまた歩いて、逢いに行くんだ。






「逢いに…………行く………」





目が閉じていく。
もうこのまま目覚めないかもしれない。


…抵抗できない。





「……誰か、いるんですか?」



雨を遮る音がした。
透明なのに雨を遮るソレはビニール傘だった。



















































「結城、さん………?」


───逢いたかった。


口は開いた気がしたが、声が出たかは分からない。



手を伸ばした気がしたが、その手は届いていなかった。



ただひたすらに薄れゆく意識の中、感情の全てをぶつけた気がする。










「結城さん────!」





“泣かないで”…と。
























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