【BL】年上の意地、年下の本気


「結城さん、おはようございます。」


病院に通い続けてもう1週間になる。
まだ眠っている結城さんに、もう目が覚めないのかもしれないと何回思ったか。

その度に胸が苦しくなって、少し冷たい結城さんの手を掴んでは離せない。



「これからドラマの撮影があるんです。…今回はキスシーンもあるかも。」


“…本当にキス、するのか?”


前にそう言って結城さん拗ねたっけ。
角度だけだって直ぐに言わなかったからその後口聞いてくれなくなったけど、拗ねてたってわかった時は可愛くてどうしようもなかった。




…またそうやって拗ねてくれないかなって。



思ったけど、まだ目は覚めないみたいだ。




「…もう行きますね。」


思い出すと苦しくなる。
こんな暗い表情じゃ到底演技なんて出来ないだろうから、早くに行って気持ちを入れ直そう。



























「…結城さん──?」












逞真side end

< 163 / 178 >

この作品をシェア

pagetop