【BL】年上の意地、年下の本気
「…結城さん?」
「……………」
「結城さん?なにムスッとしてるんですか?」
「…別に。」
雨の音がやがて勢いを増し、声をかき消していく。
「拗ねてるくせに。」
図星をつかれた俺は布団に潜った。
わかってたのに、…俺がこうなること。
「…拗ねてないし。」
見え見えの嘘でも、つかないと認めた事になる。
認めたくはなかった。
いい歳した男が、年下に拗ねるなんて。
「…雷…?」
沈黙を破るように雷が落ちた。
…雷は嫌いだ。
「逞真…」
もういい。
…こうなればヤケだ。
「ゆ、結城さん…っ?」
顔赤いな…珍しい。
こんな顔を見れるのならたまにはヤケになってもいいかもしれない。
「…寒い。雷も、怖い。拗ねたし、妬いた。…………嫌いになったか?」
本当は恥ずかしさより、毎回毎回妬いてしまう自分が嫌になってた。
束縛してはいないか、無理させてはいないかと。
…もうとっくに逞真なしじゃ生きられない俺だから。