【BL】年上の意地、年下の本気
「雅ー、瞬くん来てるわよ〜!」
…会いたくない。
そんなこと瞬に対して思ったのは初めてだった。
いつも会いたくて、隣にいたくて、幼なじみってポジションが大好きで固執して。
なのに今は……会ったら、胸が張り裂けそうになる。
顔を見たくない。…いや、見れない。
「寝てるのか?」
低くて、俺にだけ優しいその声を俺は知っている。
いや…知ってしまったからこそ抜け出せない。
「雅」
シトラスの香りがふわりと俺を包む。
その香りも、たまらなく好きだった。
「な…に…」
なんで抱きしめられてるんだろ。
…この行為になにか意味はある?