【BL】年上の意地、年下の本気


「雅ー、瞬くん来てるわよ〜!」


…会いたくない。
そんなこと瞬に対して思ったのは初めてだった。


いつも会いたくて、隣にいたくて、幼なじみってポジションが大好きで固執して。



なのに今は……会ったら、胸が張り裂けそうになる。


顔を見たくない。…いや、見れない。






「寝てるのか?」


低くて、俺にだけ優しいその声を俺は知っている。


いや…知ってしまったからこそ抜け出せない。






「雅」



シトラスの香りがふわりと俺を包む。
その香りも、たまらなく好きだった。





「な…に…」


なんで抱きしめられてるんだろ。
…この行為になにか意味はある?





< 38 / 178 >

この作品をシェア

pagetop