【BL】年上の意地、年下の本気
「っやめろ、触るな!」
シャツのボタンの隙から入ってくる長くて細い指。
ひんやりと冷たくて、肩が跳ねると瞬は耳元でクスリと笑った。
「…雅、可愛い。」
「ひゃ、っあ」
耳を噛まれて変な声が出た。
恥ずかしさと、自己嫌悪でぐちゃぐちゃだ。
「なんで、こんなこと……」
さっきの子は彼女じゃなかったのか?
…そうじゃなくても、触れないで。
他の人に触れて、抱いた手で。
「雅が好きだから。」
もう分からない。
瞬が何を考えているのか。
………でも。
「好…き……?」
嬉しい、と思ってしまった。
何を考えているのかわからないし、なんであんな所を見せたのかもわからない。
けれど好きという一言だけでその全てを忘れてしまうほど俺は馬鹿だった。