【BL】年上の意地、年下の本気
逞真side
「すみません新垣さん、遅らせて。」
空港へ向かう車の中。
他の人はもうとっくに着いてるから、俺と新垣さんだけ。
「いいよ、黒羽くん疲れてるみたいだから後ろで休んでて?まだ着かないから」
わざわざ遅らせてまで伝えること無かったかな。
…あんな顔させたかった訳じゃないけど、ああなる事は薄々わかっていた。
自己満足だ。
でも…もうそれでもいいやって思えた。
「…黒羽くん、電話鳴ってるよ?」
「え?あ…ほんとだ。」
あの人のことを考えると他に何も考えられない。
本当に好きなんだ。…こんなにも狂わされるなんて思ってもなかった。
「この番号……もしかして、」
前にこっそり抜いた名刺に書いてあった番号と同じだ。
急にドキドキしてきた。
まさか今日かかってくるとは思わなかったから。