【BL】年上の意地、年下の本気
「…すみません、社長がこんな風に倒れたのも、いずれ知るとはいえ私のせいです。」
深く頭を下げる榎本。
言っている意味がまだ理解できない。
「小鳥遊くんから相談を受けていたのです。…黒羽 逞真とやらの事を。」
小鳥遊め…なんて事を。
榎本にそんなこと話したら、全てを知られてしまう。
「今回の件でハッキリしました。……社長の想い人は黒羽 逞真だと。」
他人からハッキリ言われると恥ずかしい。
…でもこの気持ちに嘘をつくのはやめよう。
人を好きになるのは止められないものだから。
「……その通り。ほんと、榎本は探偵に向いてるとつくづく思うよ…」
浮気調査とか上手そう。
「………許せませんね。」
「ん?」
ボソリと低く、背筋が凍るような声が聞こえた。…ような気がした。