女嫌い公爵との幸福なる契約結婚生活
「結婚前に調べさせてもらったが、ネイトの言うように、君はかなりの倹約家のようだな。家庭の事情もあるのだろうが、派手な身なりは好まないようだし、充分な支度金を渡したのにウエディングドレスも持ち物も地味だ。俺は派手な女は女の中でも特に好まない。形だけの妻だとしても遠慮したいほどに」
品定めをするように、ネイトはアイリーンの服装に視線を這わす。アイリーンは、今も地味なモスグリーンのドレスを身にまとっているだけだった。はりきった母がいくつもドレスを仕立ててくれたが、どれも好みではなく、一番目立たないものを着ている。
「それから、口も堅そうだ。馬車の中でもそうだったが、今も無駄なことは口にしていない」
「………」
この状況であれば、きっと誰しもが無口になると思うのだが、アイリーンは黙っていた。
「新しい生活をはじめる上での制約を、覚えて欲しい。まず、俺には一切干渉しないでくれ。食事も別々だ。君は公の場にだけ顔を出して、俺に妻がいることを周りに示してくれればいい」
「……分かりました」
「その代わり、君も好きにしてくれていい。趣味に没頭してもいいし、欲求不満になったら男を作っても構わない。ただし妙な噂が立つのは困るから、くれぐれも周りにバレないようにやってくれよ」
「………!」
ネイトのあけすけな物言いに、ウブなアイリーンは真っ赤になった。この期に及んで、この人はなんてことを言い出すのだろう。
品定めをするように、ネイトはアイリーンの服装に視線を這わす。アイリーンは、今も地味なモスグリーンのドレスを身にまとっているだけだった。はりきった母がいくつもドレスを仕立ててくれたが、どれも好みではなく、一番目立たないものを着ている。
「それから、口も堅そうだ。馬車の中でもそうだったが、今も無駄なことは口にしていない」
「………」
この状況であれば、きっと誰しもが無口になると思うのだが、アイリーンは黙っていた。
「新しい生活をはじめる上での制約を、覚えて欲しい。まず、俺には一切干渉しないでくれ。食事も別々だ。君は公の場にだけ顔を出して、俺に妻がいることを周りに示してくれればいい」
「……分かりました」
「その代わり、君も好きにしてくれていい。趣味に没頭してもいいし、欲求不満になったら男を作っても構わない。ただし妙な噂が立つのは困るから、くれぐれも周りにバレないようにやってくれよ」
「………!」
ネイトのあけすけな物言いに、ウブなアイリーンは真っ赤になった。この期に及んで、この人はなんてことを言い出すのだろう。