女嫌い公爵との幸福なる契約結婚生活
アイリーンの心が、ホッと和む。十年越しではあるが、かつての自分を知っている人が傍にいるのは、とても心強い。
「何か、私にできることはないかしら? ネイト様は、好きなように過ごしてよいと言われていたし……」
「でも、人手は足りていますしねえ。といっても、男ばかりですが。しいて言えば、アイリーン様のお世話をする者がいないことに困っているのですが……。こればかりは頼めないですしね」
普通、女主人に仕えるのは侍女と決まっている。ドレスの着付けや入浴など、同性にしかできない仕事があるからだ。けれども、この屋敷に女の使用人はいない。そのためアイリーンは、ドレスの着付けをはじめ、自分のことは全て自分でこなしていた。
「私の世話をする人なんていらないわ。今までだって、自分のことは自分でしてきたし、急に誰かの手を借りるのも変な気がするもの」
「そうですね。アイリーン様ならそうおっしゃると思っていました。だからネイト様も、あなたのことをお気に召されたのでしょう」
セドリックの答えに、アイリーンは慌ててかぶりを振る。
「違うわ。ネイト様は、私のことなんて気に入っていないのよ」
「知っていますよ。あなたが結婚相手に選ばれたのは、ネイト様が望む契約の条件に適ったからでしょう? 自分で自分の身の回りのことができるというのも、ネイト様が奥様に求める契約の条件に入っていたのです」
「何か、私にできることはないかしら? ネイト様は、好きなように過ごしてよいと言われていたし……」
「でも、人手は足りていますしねえ。といっても、男ばかりですが。しいて言えば、アイリーン様のお世話をする者がいないことに困っているのですが……。こればかりは頼めないですしね」
普通、女主人に仕えるのは侍女と決まっている。ドレスの着付けや入浴など、同性にしかできない仕事があるからだ。けれども、この屋敷に女の使用人はいない。そのためアイリーンは、ドレスの着付けをはじめ、自分のことは全て自分でこなしていた。
「私の世話をする人なんていらないわ。今までだって、自分のことは自分でしてきたし、急に誰かの手を借りるのも変な気がするもの」
「そうですね。アイリーン様ならそうおっしゃると思っていました。だからネイト様も、あなたのことをお気に召されたのでしょう」
セドリックの答えに、アイリーンは慌ててかぶりを振る。
「違うわ。ネイト様は、私のことなんて気に入っていないのよ」
「知っていますよ。あなたが結婚相手に選ばれたのは、ネイト様が望む契約の条件に適ったからでしょう? 自分で自分の身の回りのことができるというのも、ネイト様が奥様に求める契約の条件に入っていたのです」