伝えたいこと、口じゃなくても
その番組を見て、瞳は自分もケニアで子どもたちに本を読みたいと強く思った。夢を描いたことなどなかったが、生まれて初めて夢ができた。

瞳は両親にその夢を話した。とても怒られた。親に逆らうな、と叩かれた。それでも瞳は諦めなかった。

瞳のことを、祖父母は応援してくれた。祖父母のために、瞳は高校では時給のよいアルバイトを三年間続けて大学へ行った。そしてボランティア団体に所属し、ケニアへと向かったのだ。



瞳は今日も仲間のブライアンとともに、子どもたちに字を教える。その村で毎日二時間、一ヶ月文字の読み書きを教える。

「今日の授業はここまで!See you tomorrow(また明日)」

瞳がそう言うと、子どもたちはすぐに家事へと戻っていく。瞳とブライアンは片付けをして、村を出る準備をしていた。

「……瞳先生」

本をかばんに入れている瞳に、黄色、緑、赤、青など様々な色のストライプ柄のカラフルなワンピースを着た女の子が話しかける。十五歳のヒストリア・ホープだ。
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