伝えたいこと、口じゃなくても
「恋愛なんて、仕事に就いてからだ!!」

大声で怒鳴られ、瞳が何を言っても二人は聞く耳を持ってくれなかった。

申し訳ない気持ちで瞳はいっぱいになり、彼を避けるようになったのだ。こうして、初恋はあっけなく砕け散った。

話そうか迷ったが、瞳は「相手の目を見て言ったよ」と嘘をつくことにした。恋を一生懸命している女の子に、こんな話をするわけにはいかない。

「That's great!(すごい!)I don't have the courage to(私にはそんな勇気はないよ)」

純粋な目でヒストリアは言う。瞳の胸はズキンと痛んだ。それを誤魔化すように笑う。

「好きな人に告白するの?」

ヒストリアは顔をさらに赤くし、両手で顔を覆う。

「告白したいけど……相手の目を見てなんて言えない……」

瞳が「じゃあ……」と口を開きかけた時、「ヒストリア!早く手伝ってちょうだい!」とヒストリアのお母さんが言った。
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