日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
屋上の扉を開けると強い風が吹いていた。
「うわ!お、おっとと」
トン、と背中に何かが当たる。
「大丈夫?桃華」
「悠月。う、うん!ありがとう!」
悠月との昼休みの食事も
敬語で話さないことにも慣れてきた私は
毎日一緒にお弁当を食べている。
「いただきまーす!」
「どうぞ」
「んー!今日ハンバーグ入ってんじゃん!」
「ほんと!?私ハンバーグ大好き!」
「ふは、知ってる。
だって桃華、ハンバーグ入ってると
いつも最後まで残して大事そうに食べてる」
「だって美味しーのは最後に
取っときたいもん!」
「えー、俺先に食べる派。」
「食べたら勿体ないもん!」
「じゃあ、この間最後に残してた
オムレツもそうか?」
「そう!オムレツとかは、
前日の夕飯の残りでも美味しーよねー」
「俺、桃華のママのオムレツは
すんげえ感動した。
美味すぎ」
「でしょでしょ!ママに伝えとくね!」
「おう!いつか暖かいの食べに行きますって
伝えとって!」
「伝えとくー!
きゃぁ!」
いきなり強い風が吹いて、
私の髪と風呂敷を浮き上がらせる。
「お、と。あぶね」
悠月が自分の飛ばされた分は
上手にキャッチするが、私の分は飛ばされる。
「「あー、」」
「わりぃ、取り損ねた。」
「うんん、取ろうとしてくれてありがとう
取ってくるね」
「俺も一緒に」
「うんん、大丈夫!」