日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
「誰だよそいつって、」



「お前ら"白龍"の夏美さんに続く
姫、百合だよ!」



「悪ぃ、俺、追っかけてくる女
いちいち覚えてるほど暇じゃねぇんだよ」



「ッッ!!」



「分かったらとっとと失せろ。」



「チッ!分かったよ!」



「あ、おい、テメェら、
次桃華になんかしてみろ。
テメェらが殺してくれって懇願するほど
殺してやるよ。」



「ヒィ!わ、わるかった!」



ヤンキーが逃げていくと同時に力が抜ける。



怖かった。



「こわ、かった。」



桃華を撫でようとしていた悠月の手が
止まる。



「悪ぃ、怖かったな。
しばらく、近ずかないようにする。」



「え、なん、で?」



「いや、お前には、怖かったろ?
俺。」




「うんん、怖くないよ。
怖かったけど、怖くないよ。」



「え、」



「全然大丈夫。だって、悠月だもん。
悠月は、理不尽なことには怒らないって
私、知ってるもん。」



バクバクとなっている心臓は
ただ怖かっただけではないだろう。



「怒ってる悠月は、怖かったけど、
私は、美味しそうにご飯食べる悠月も
さっきみたいに本気な悠月も
知れて良かったと思ってる。


だって、どれも悠月なんだもん。」



「桃華。」



「悠月、私のために怒ってくれて
ありがとう。」



「フ、このお返しは、桃華の
手作りお弁当で許してやる。」


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